終末母子もの映画「アイ・アム・マザー」×「バード・ボックス」

共通のテーマを扱った作品を、たまたま連続で観たので一緒に感想を述べたいと思います。(なるべくネタバレなしで)

ただ共通のテーマとは言ってもその作風はかなり違います。

「アイアム~」はSF、「バード~」はパニックホラーとなっています。


結論から言うと、すごく個人的な感想になりますが、僕は「アイアム~」の方が面白かったです。


「バード~」は、「あるものを見てしまうと死んでしまう」という設定は面白かったです。

しかしそれ以外、キャラクターもセリフも構成も凡庸で観ていて、ついつい先が読めてしまう残念な作品でした。

序盤のパンデミック描写は良かったのに、クライマックスでそれを超える展開がありませんでした。

(でも純粋にパニックやホラー好きな人は十分に楽しめる作品です!)


「アイアム~」は、主要登場人物が3人ということで、それぞれのキャラクターが丁寧に描写されていました。

緻密な設定で、構成や展開も違和感なく、物語に素直に入り込めました。

この作品は脚本ありきの企画だったそうです。(未映画化の脚本を対象とした映画製作マッチング・プロジェクト「ブラックリスト」で映画化が決定したとのこと)

脚本の良さを理解・尊重して作られた映画だったことを知り、うれしくなりました。


くしくもこの2作品は、女性が真の意味での強い母親に成長する話でした。

「バード~」では、自分の子ども達を「ボーイ」「ガール」と呼び続けていた母親(つまり母親になることを拒み続けていた女性)が、ラストで2人にそれぞれ名前を付けます。

「アイアム~」では「ドーター(娘)」と呼称されていた少女が、ラストで赤ちゃん(弟)を自分の力だけで育てていく覚悟をします。

どんな物語にも成長要素は必要です。

その見せ方もに様々あるなぁと改めて感じさせてくれる2作品でした。

尾崎悟史のページ